足の裏のホクロ
篠島 正
(苫小牧市医師会・しのじま皮膚科クリニック)
篠島 正
(苫小牧市医師会・しのじま皮膚科クリニック)
「足の裏にホクロができた。足の裏のホクロはがんになりやすいと聞いた」といって来院される方は珍しくありません。これは、悪性度が高く転移しやすい、たちの悪い皮膚がんである悪性黒色腫(メラノーマ)が足の裏にできやすいことと関係があります。
結論から言うとホクロががん(悪性腫瘍)になることはほとんどありません。
ホクロは母斑細胞という色素を持った細胞が増えてできた良性腫瘍で、10~20人に1人ぐらいの割合で足の裏にホクロがあります。
一方、皮膚には皮膚の色を作るメラノサイトという細胞が分布しており、これがまれに悪性化したものがメラノーマです。原因は不明ですが、遺伝的な要因や紫外線、皮膚への外的な刺激などが関与しているといわれています。
日本人のメラノーマの発症率は10万人当たり1.5~2人となり、欧米人と比べて足の裏に発生する頻度が高いことで知られています。
問題なのは初期のメラノーマと良性のホクロの見分けがつきにくいことです。足の裏にホクロを見つけたらどのようなことに注意をして皮疹を観察するといいのでしょうか。基準は四つあります。
近年は、ダーモスコピーという特殊な拡大鏡を使ってかなり正確にメラノーマの診断を行うことが可能になりました。これは、皮膚表面の光の乱反射を防いで皮膚の奥の色素分布を観察する器具でメラノーマの診断精度が飛躍的に向上しました。
メラノーマは、早期であれば手術だけでも完治させることができます。
足の裏にホクロを見つけたら虫眼鏡でよく観察して上の四つのどれかに当てはまるときは皮膚科を受診してください。
2021年12月15日 苫小牧民報 掲載