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Medical column とまこまい医報

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ワクチンについて

ワクチンについて

儀同 咲千江

(苫小牧市医師会・北海道苫小牧保健所)

今年に入ってから、新型コロナウイルスワクチンに大きな注目が集まっているところです。色々な情報があふれる中ではありますが、いったん初心に立ち返り、そもそもワクチンとは、というお話をさせていただければと思います。

 18世紀の末、ジェンナーが牛痘を接種することで天然痘を予防できることを証明しました。牛痘はラテン語でVariolae vaccinaeといい、これがワクチンの語源となっています。

ワクチンはウイルスや細菌などのもつ病原性を弱らせたり、全くなくしたりした上で体に投与することで免疫を得られるようにするものです。病原体を弱らせたものを生ワクチン、病原性をなくして免疫をつくるのに必要な成分のみとしたものを不活化ワクチンや成分ワクチンと呼んでいます。最近よく聞くmRNAワクチンは、病原体の成分ではなくその設計図になります。免疫をつくるのに必要な部分の設計図を投与し、成分自体は我々の体の中で作ろうという発想のワクチンです。

ワクチンを接種すると免疫応答がおこります。接種したところが腫れたり、熱が出たりすることもありますが、それは体内で免疫が作られている証拠でもあります。

そうして得られるワクチンの効果は大きく3つに分けられます。①感染しても重症化を防ぐ効果、②感染しても発病しないですむ効果、③感染自体を防ぐ効果です。

 また、上記のような個人における効果以外に、集団免疫効果というものがあります。多くの方がワクチンを打って免疫をもてば、社会全体として感染する方が減りますよね。すると、周りにいる感染者も減るわけですから、感染する機会自体が減っていきます。もしアレルギーや持病のためにワクチンを打てない方がいたとしても、周囲の多くの方がワクチンを打つことによってその方を守ることができるのです。

かつて18世紀には牛痘を接種すると牛になるという噂が流れました。現在もネット上ではmRNAワクチンを打つと遺伝子が書き換えられる、不妊になるなどという荒唐無稽なデマも拡散されています。

ワクチンで予防できる疾患には、有効な治療法がなかったり感染すると重篤な後遺症を残してしまったりする疾患が多くあります。もちろんすべての薬と同様にワクチンの副反応もゼロではありませんが、根拠のない噂話に振り回されることなく、ワクチンの効果と安全性について正確な情報が多くの方に共有されることを願います。 

2021年06月16日 苫小牧民報 掲載

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