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疑うことで早期発見が可能なCOPDについて

疑うことで早期発見が可能なCOPDについて

呉 賢一

(苫小牧市医師会・あつまクリニック)

COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入暴露することなどにより生ずる肺の病気です。約20年前まで、肺気腫や慢性気管支炎などの病名で呼ばれていました。肺気腫と聞けばピンとくる方も多いのではないでしょうか。わが国の推定患者数は500万人を超えると言われていますが、実際に治療されている方は30万人を下回っています。ありふれた疾患のはずですが、疾患認知度はいまだに低いです。病気にかかっていても自覚しにくいため、喫煙し続けて重症化してしまうケースが多いです。

COPDの初期症状は、無症状か咳、痰などがみられるのみです。早期発見には疾患を疑うことが大切で、「40歳以上で喫煙歴がある」「咳(特に痰のからんだ湿った)や喘鳴(ゼーゼーヒューヒューいう呼吸音)が聞かれる」「労作時(階段や坂道の登りなど)の息切れがみられる」「風邪症状を繰り返したり回復に時間がかかる」「高血圧症や糖尿病などの併存症がある」といったものが、COPDを疑う特徴になります。気にかけず喫煙し続けると、徐々に労作時の息切れが顕在化し、進行すると呼吸不全となり、安静時でも息切れが起こるようになってしまい、ひどい場合は酸素ボンベが手放せなくなる状況に陥ってしまうかもしれません。また肺がんや心血管系疾患にかかる可能性が高くなります。

COPDの診断は、他疾患を除外し呼吸機能検査で確定します。治療には薬物療法と非薬物療法があります。薬物療法は「長時間作用性抗コリン薬」あるいは「長時間作用性β2刺激薬」と言われる吸入薬で、気管支を拡張させて咳や息苦しさを和らげます。不十分な場合はそれらを併用することがあります。喘息を合併している場合は「吸入ステロイド薬」も使用します。最近はこれら最大3種類の吸入薬が1つにまとまったものもあり、吸入し忘れにくくなっています。非薬物療法は禁煙、感染予防、呼吸リハビリテーション、自己管理教育、栄養管理、酸素療法、換気補助療法などがあり、薬物療法と併用して行います。

COPDは呼吸器症状が悪化(息切れ、咳、痰の増加など)する「増悪」が起こることがあり、増悪を繰り返すことは生命予後悪化と関連します。COPDを発症しても禁煙すると進行を遅らせられるので、周囲の方が喫煙させないこと、早期の反復する禁煙指導が重要です。現喫煙者はもちろん、昔タバコ吸っていたという方もCOPDの可能性がありますので、ぜひお近くの呼吸器内科でご相談ください。

2021年02月17日 苫小牧民報 掲載

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