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Medical column とまこまい医報

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放射線診断医が発行する画像診断報告書について

放射線診断医が発行する画像診断報告書について

薮崎 哲史

(・苫小牧市立病院)

画像診断報告書を主治医がしっかり確認しなかったため、放射線診断医が指摘した病変をしっかり調べることなく時間が経過し、後日病変が大きくなった段階で誰かが気付いた・・・そんなニュースがここ数年増えています。果たしてこれはどういうことなのでしょうか?

CTやMRI、PETと言った画像診断の検査に対して報告書を作成するのが我々放射線診断医の仕事です。病院により運用は異なり、必ずしも全ての検査に報告書を作成しているわけではないのですが、検査を依頼した医師が報告書も希望する場合に作成するか、全ての検査に作成する、という病院が多いと思います。単なるチェックミスかもしれませんが、検査報告書があると分かっていて見ていない、という可能性もあるのです。どんなに優秀な医師であっても、絶対に失敗しない人はいません。人は必ず失敗をするもの、という前提のもとで失敗が小さなものであるうちに誰かがカバーする、という体制作りが求められます。

私が働いている医療機関には放射線診断医がおり、日々検査報告書を作成しています。ただ作成するだけでは依頼した医師に情報が伝わるのが遅くなり、また重要な内容が見逃されてしまう可能性があるため、

・できるだけ分かりやすい報告書を作成し、重要な部分は強調する

・緊急性の高い病気が偶然見つかった場合など、すぐに電話で連絡をする

・病院のシステムとして、多くの診療科や職種の連携を得やすい環境を作る

という風に、できる限り画像診断報告書で発見された内容が患者さんの治療に結びつくような環境作りをしています。また、画像診断には欠かせない存在である放射線技師や看護師、これからの医療を担う存在である初期研修医を主な対象として、どのような疾患が見逃されやすいか、何に注意をすれば良いか、などをテーマに勉強会を開催しています。

放射線診断医の仕事はほとんど裏方のため、患者さんから見えないところの仕事がほとんどです。しかし、より良い医療を提供するために様々な役割を担っており、米国では「Doctor’s doctor(医者のための医者)」とも呼ばれています。医療従事者にとっても患者さんにとっても「放射線診断医のいる病院は安心」と思ってもらえるような仕事をしていきたいと思い、日々仕事をしています。

2020年03月11日 苫小牧民報 掲載

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