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Medical column とまこまい医報

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内視鏡下手術について(外科領域)

内視鏡下手術について(外科領域)

岩井 和浩

(苫小牧市医師会・王子総合病院)

 最近は体に優しい手術として、内視鏡下手術が行われる機会が増えています。腹腔鏡や胸腔鏡を利用して行う手術を内視鏡下手術とよびます。手術は原則として全身麻酔下に行われ、手術視野を確保するために、腹腔鏡下手術では腹腔内を炭酸ガスで膨らまる気腹法や腹壁つり上げ法が、胸腔鏡下手術では片肺換気が必要となります。内視鏡下に腹腔内や胸腔内の様子をテレビモニターに映して観察し、小さな傷から細い器具を使用して行う手術です。わが国では1990年に胆嚢摘出術で導入され、現在では、多くの外科手術に応用されています。内視鏡下手術の利点としては、①傷が小さいため術後の痛みが少なく、美容的にも良好であること、②術後の回復、退院、通常の生活への復帰が早まること、③癒着・感染が少ないことなどがあげられます。一方で欠点としては、①視野に制約があり、止血操作などの技術面で困難性があること、②手技的な習熟に時間を要すること、③開腹・開胸手術に比べ手術時間が長いことなどがあげられます。


 外科領域では、胆石症、虫垂炎、大腸がん、胃がん、気胸など肺良性疾患、肺がんなど多くの疾患が内視鏡下手術で治療されています。胆石症では開腹手術では、術後退院までに1週間以上要していましたが、内視鏡手術では4日目には退院可能であり、就労への復帰も早まります。ただし胆のう炎合併の程度により内視鏡下手術の対象とならない場合があります。虫垂炎では、内視鏡下手術で治療した場合には、通常は術後3日目に退院可能です。がんの手術では、進行度や患者さまの状態により手術の方法が決定されますが、早期のものでは内視鏡下手術の良い適応となります。がんなど悪性疾患に対する内視鏡下手術は腫瘍細胞の播種や転移促進が懸念されていましたが、注意深く行えば心配ないことが明らかになっています。最近では進行がんへの適応の拡大が試みられています。体に優しい手術ですが、すべてのがんが対象となるわけではないので、主治医の先生とよく相談の上、治療法を決定することが大切です。


 内視鏡下手術として現在研究されているものにロボット手術があります。これは、人間の手では不可能だった微細な作業や、患者さんと離れた場所での手術を可能にした技術で、モニター画面を見ながら外科医の手により操作されるロボットによる手術です。こうした技術の発展により、どこでも最先端の手術を受けられる日が来るかもしれません。

2009年01月27日 苫小牧民報 掲載

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