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Medical column とまこまい医報

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自宅で血圧を計ろう

自宅で血圧を計ろう

清水 力

(苫小牧市医師会・苫小牧市保健センター)

日本高血圧学会から「高血圧治療ガイドライン2019」が発表されました。わが国の高血圧者数は約4300万人と推定され、そのうち3100万人が管理不良(自らの高血圧を認識していない者1400万人、認識しているが未治療の者450万人、薬物治療を受けているが管理不良の者1250万人)とされています。また、高血圧に起因する脳心血管病死亡者数は年間約10万人と推定されており、脳心血管病死亡の約50%が血圧高値によるものとされているため糖尿病、脂質異常症と並んでその対策が急務です。

高血圧の診断は言うまでもなく血圧測定によりなされるわけですが、健診や医療機関を受診した際に血圧が高かった場合、「自宅で血圧を測っていますか(測ってください)?」と言われたことはありませんか?現在、自宅での血圧測定値をもって高血圧の診断や降圧剤の効果を評価することが推奨されています。その理由として、測定値の再現性・薬効評価に優れていること、白衣現象(診察室など特殊な環境下で血圧が高くなってしまうこと)や仮面高血圧(家庭では高血圧基準を満たすにも関わらず診察室では正常血圧を示す)が発見可能、などがあげられます。わが国では現在約4000万台の家庭血圧計が稼働しており、高血圧患者の77%が、非高血圧者の40%が家庭血圧計を保有していると報告されています。せっかくこれだけ多くの家庭血圧計が利用されているわけですから、正確な方法で家庭血圧を測定してみてはいかがでしょう。まず測定機器については、手首で測定するものでも良いのですが、可能なら腕に巻く機器が推奨されています(指先で測定する血圧計は不正確なため推奨されていません)。測定は、1)静かで適当な室温環境で、2)原則として背もたれつきの椅子に脚を組まずに座って1〜2分の安静後に、3)会話はせずに、4)測定前に喫煙、飲酒、カフェインは摂取せず、5)カフの位置は心臓の高さで行います。測定する時間は、朝は、1)起床後1時間以内で、2)排尿後に、3)薬を飲む前に、4)朝食を摂る前に、5)座って1〜2分安静後に測定します。夜に測定する際には、就寝前に座って1〜2分安静後に測定します。測定回数としては原則1機会に2回測定しその平均をとりますが、1回のみでも構いません。できれば朝晩7日間(少なくとも5日間)測定してその平均値をもって評価します(朝・晩いずれかの平均値が135/85 mmHg以上で高血圧と判定)。

私は健診業務に携わっていますが、2回の測定で平均血圧が高い場合には自宅での血圧測定の有無を聞くようにしています。より正確な判定を下すために健診を受診する際には上述した方法で測定した家庭血圧データを持参していただくことをお勧めします。

2019年09月25日 苫小牧民報 掲載

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