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気管支喘息治療の変遷

気管支喘息治療の変遷

河井 康孝

(苫小牧市医師会・王子総合病院)

呼吸器内科領域で一般的な慢性疾患のひとつに気管支喘息があります。気管支喘息とは、発作的に咳、痰、喘鳴(呼吸の際にゼーゼー・ヒューヒューと音がすること)、呼吸困難を起こす病気です。気道の炎症と、それによる可逆性の気道狭窄を特徴としています。喘息に罹患する原因は極めて多様ですが、多くの患者さんではアレルギーがもとになっており、環境アレルゲンに対するIgE抗体が存在します(もちろんはっきりしたアレルギーがないケースもあります)。乳幼児では食物アレルゲンが、成人ではダニ・ハウスダストなどの吸入アレルゲンが過敏性の対象として多いといわれています。普段は落ち着いていても、運動・喫煙・感冒・原因アレルゲンへの曝露・気象変化・精神的ストレス・過労・女性の場合は月経など様々な原因で発作が誘発されます

以前は気道の炎症という概念がなく、ただ気道が狭くなる病気として認識されていました。そのため治療としては気管支拡張薬が主体でしたが、起きてしまった発作を抑えることが中心で、発作を予防するという点については上十分でした。気道の炎症という概念が明らかになった現在は吸入ステロイドという炎症を抑制する薬剤を予防的に定期使用することが治療の中心となっています。

吸入ステロイドと気管支拡張薬が1つの容器に合わさった吸入薬が現在は多く使用されています。2種類の薬を一度に吸えて便利というだけでなく、同時に吸入することで相乗効果があるともいわれています。それでも症状が残る場合には、病態に応じて内朊薬を併用しています。小児喘息も基本的な考え方は同様ですが、年齢などにより若干の違いがあるかと思います。吸入ステロイドにより低身長になるという説もありますが、大きな影響はないという報告が多いようです。これらについては小児科の先生にご相談ください。

最近では、さらに炎症の原因まで掘り下げた治療が模索されています。炎症を起こす原因として様々な免疫機構の異常が指摘されています。その一つ、IgE 抗体を抑制する薬剤が平成二十四年に発売されました。その他にも、様々な薬剤の臨床研究が進行しています。このメカニズムは患者さん個々で異なっていると推定されており、今後はそのメカニズムに合わせた治療の「個別化《が進んでいくのではないかと考えられています。ただ、多くの薬剤は未だ高価です。気管支喘息は慢性疾患であり、治療が長期的に必要な患者さんも少なくありません。今後、新たな薬剤の創出と同時に、より安価な治療手段の開発も望まれるところです。

2014年07月29日 苫小牧民報 掲載

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