母子手帳と電子化予防接種記録
高柳 直己
(苫小牧市医師会・たかやなぎ小児科)
高柳 直己
(苫小牧市医師会・たかやなぎ小児科)
昨年関東を中心に大人の風しんの流行があり、妊婦が感染し、先天性風しん症候群の新生児が多く発生しました。風しんは過去に予防接種を2回受けていれば十分免疫が持続します。「あなたは以前に風しんの予防接種を受けていますか?《この質問にどれだけの人が正確に答えられるでしょうか?答えは自身の母子手帳の予防接種の欄に記載されています。母子手帳はこどもの成長の記録と予防接種歴が記載されていて、大人になってからも大切な情報が詰まっています。しかし、中学生あたりで、記録されていなかったり、紛失したりされる場合が見られます。
母子手帳を紛失した場合、市町村の予防接種台帳に、個々人の接種記録が保管されています。しかし、住民が他の市町村に引っ越すと記録が途切れたり、保管期間の5年を過ぎると記録がなくなる問題があります。
しかし、苫小牧市ではいち早く2004年からの定期予防接種記録はすべて電子化した台帳を継続して管理しています。苫小牧市民が市内で受けた定期接種だけというデータの制限はあります。他市で受けた場合、自費で受けた場合、定期接種外のワクチンの場合などは記録されていません。札幌市は同様の電子化を昨年からスタートさせたばかりです。国は2017年度から全国民の接種記録を登録するシステムを作ることをようやく決めたようです。
システム構築のため、国はまず今年度、記録の保管方法を紙から電子情報に切り替えるよう各市町村に促し、その後、各市町村と中核のコンピューターを連結し、接種記録を一体化して保存し保管期限も廃止して無期限にする方向のようです。苫小牧市に遅れること13年目です。個人での母子手帳の管理と市役所の電子化による予防接種記録管理の活用することにより予防接種率の向上を図り市民の健康増進をめざしましょう。
2014年07月15日 苫小牧民報 掲載