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Medical column とまこまい医報

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がん診療いま・むかし

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松井 あや

(苫小牧市医師会・王子総合病院)

10月は乳がん予防強化月間で、あちこちでそのシンボルであるピンクリボンを見かけた方も多いのではないでしょうか。乳がんは現在日本における女性の癌罹患第一位となっており、日本人女性約20人に1人が乳がんにかかると言われています。がんに対する外科手術の一般的な考え方は、病変と転移している可能性の比較的高い病変近くのリンパ組織を切除するというものです。80年代には大きく切除することが病を治すことに繋がると考えられ、がんを患った乳房や近傍のリンパ組織のみならず、乳房の奥にある胸の筋肉までも大きく深く切除する拡大乳房切除が標準的な手術のやり方でした。ところが90年代にかけ、筋肉の切除の有無が生命予後に関連しないことがわかり、乳房切除とリンパ組織の切除のみの手術が広く行われるようになりました。さらに新世紀を迎え増加してきたのが乳房を残す手術、すなわち乳房温存手術です。

日本乳癌学会の2010年の統計では、乳がんに対する全手術の約6割を乳房温存手術が占めるまでとなっています。がんの大きさが3cmを超えない場合、一部例外はあるものの、乳房を残す手術と取り去ってしまう手術との間に生命予後の差はないと考えられています。ただし乳房を残す場合は、手術後に温存乳房に放射線照射を行って局所の再発を予防する必要があります。また、一部の施設で試験的に行われている方法として、RFA(熱凝固療法)という「切らない《治療法も登場しています。これは直径が2cmを超えない小さながんに対し、ラジオ波を発生させる特殊な針を刺入し、熱を加えてがんを焼いてしまうものです。

再発の危険が高いとされ、長期的な成績が上明なことから、現段階ではあくまで試験的治療という位置づけです。さまざまな知見が得られていくにつれ、乳がんの疾患概念そのものが大きく変化しました。「乳がんは乳房だけの病ではなく、全身の病である《つまり、乳がんは診断時に既に全身に微小な転移をきたしているという考え方です。手術で目に見えるがんを切除し、その後速やかに全身に対する薬物治療を行うのが標準的な治療です。とはいえ、直径2cm以下の小さながんで他に転移がなければ、適切な治療により約9割の方が治癒されます。

したがって早期発見が何より大切ですが、がんが2cm以下で診断された方のうち、自覚症状がなく検診で診断される方は約7割もいらっしゃることがわかっています。検診を受けることの大切さを物語る結果ですね。

2013年11月26日 苫小牧民報 掲載

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