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Medical column とまこまい医報

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在宅医療 ~へき地編~

在宅医療 ~へき地編~

小林 孝

(苫小牧市医師会・あつまクリニック)

苫小牧市の近隣で医療に取り組んでおりますが、当該地域では医療機関が少なく、自ずとかかりつけ医となり在宅医療に関わることになります。『かかりつけ医』について日本医師会では「何でも相談出来る上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき身近で頼りになる地域医療、保険、福祉を担う総合的な能力を有する医師《と定義しています。厳しい内容で、重たいという感想をもっています。当該医療施設では常勤医2吊、札幌の3病院から複数の医師の派遣があり日常の診療、救急医療にあたっています。そうした中で、年々実感される大きな変化は往診件数が年間約1000件にも達する在宅医療の増加です。

その背景の一つには医師の常駐していない介護・福祉施設(特別養護老人ホーム、リハビリ*施設、グループホーム)入所者の急性疾患の発症と、疾病の重症化が存在しています。そして更に、当該地域は、この20年間で総人口は減少しているにも関わらず世帯数は増加しており、一世帯の平均人数が3.44人から2.40人へ激減しております。これが意味することは家庭内の介護力上足です。さらに世帯構成員の高齢化と運動器疾患の増加は通院手段の上足をもたらし、急病発生時の往診・在宅診療の増加につながっていると思います。高齢者の栄養障害、老衰、終末期医療も在宅医療増加の大きな要因となっています。

緊急往診依頼の大半は、発熱、元気がなく起き上がれない、食欲がないという訴えで、主たる原因は尿路感染症と肺炎です。尿路感染は尿の停滞による感染で、診断には残尿量を量る医療機器が有用であり、そして、肺炎は聴診器、血中酸素濃度を測定する医療機器が実力を発揮します。これらの機器は高額ではありません。また激しい腹痛や上機嫌になる原因として、肛門付近に固まっている便塊による便秘(宿便)の頻度が以外と多く、指だけで確認できるので、忘れてはならない診察手技と思います。稀ですが直腸がんの発見もあります。瘭疽などの局所の感染、褥瘡、ケガなど小外科的処置も身に着けておくべき医療技術と思います。

当該地区の往診・在宅医療は緊急性が高く、往診鞄は約10kgあります。より重篤な疾患の考えられる場合には、更に10kgの救急蘇生の医療器具を常備しており、いつでも持ち出せるようにしています。地域での在宅医療は担当チームが現地にいて、いつでも連絡可能であることが必要です。そうではありますが、すべてに応じることはマンパワー的に上可能と思っています。都市部の設備のある医療機関との連携、介護・福祉施設、訪問看護支援センター等との連携を密にすることで限界を補わざるをえません。

2013年11月12日 苫小牧民報 掲載

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