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Medical column とまこまい医報

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未破裂脳動脈瘤の治療方針

未破裂脳動脈瘤の治療方針

和田 啓二

(苫小牧市医師会・わだ脳神経外科クリニック)

 クモ膜下出血は「頭痛」、「吐き気と嘔吐」、「意識を失う」などの症状で発症します。緊急で病院に搬送されますが診断はクモ膜下出血でも「出血した脳の部位」、「年齢」、「原因である脳動脈瘤の大きさ」、「形状」などにより「手術等の治療が可能であるか」、または「手術はできなく内科的治療か」が選択されます。頭部を開ける手術ではクリップと呼ばれる金属製の小さなバネ式の器材で動脈瘤と呼ばれる血管のコブの根元を挟み込みます。手術後の症状は「年齢」、「意識状態」、「出血の程度」などにより強く左右されます。全体のクモ膜下出血の経過としてはおおよそ3分の1が死亡、3分の1が麻痺、言語障害などの機能障害を持ち、3分の1が日常生活に復帰するという比率です。


 クモ膜下出血を起こす前に見つかった脳動脈のコブを、まだ出血を起こしていないため(破裂していないと表現し”未破裂脳動脈瘤”と言います)この場合の治療はどうするか。将来破裂する動脈瘤なのか。そのための手術などの治療が必要かどうか。未破裂脳動脈瘤の破裂に関しての因子は「瘤の大きさ」、「部位」、「サイズの大きいもの」、「症状の出てきた未破裂脳動脈瘤」、「年齢」、「女性」、「複数の瘤」、「喫煙」、「瘤の不規則な形状」などが報告されています。


 1998年欧米から国際未破裂脳動脈瘤研究で瘤の大きさが10mm以下の未破裂動脈瘤の年間破裂率は0.05%という結果でした。しかし、これらの発表には欧米の脳外科医からも反論があり、現実に北米でのクモ膜下出血が年間28,000人発生している事実が説明できないとしています。このことから5mm以下の動脈瘤は発生してから数日あるいは数カ月以内に破裂していると考えると先の報告の疑問を説明できます。これらの5mm以下の動脈瘤は登録されない動脈瘤になるわけで、徐々に同じ経過で瘤は大きくなってはいないと考えたわけです。要するに脳外科医は破裂している小さな脳動脈瘤を多く経験することになります。その後、日本を含めた5mm以下の未破裂脳動脈瘤を3年以上観察した結果では年間破裂率は0.45%位となりました。しかしながら、全体の9割以上は瘤の増大を見ていなく、破裂していません。


 最近の未破裂脳動脈瘤に対する手術適応は「年齢は70歳以下であり、かつ瘤の大きさが5mm以上」であること、または「5mm以下、70歳以上でも破裂のリスクの高い因子と呼ばれる条件を兼ね備える」場合、「家族歴」も大きな要因として考慮されます。

2008年12月22日 苫小牧民報 掲載

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