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Medical column とまこまい医報

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特定不妊治療費補助の変更および出生前診断について

特定不妊治療費補助の変更および出生前診断について

岩城 雅範

(苫小牧市医師会・岩城産婦人科)

特定不妊治療とは体外受精、顕微授精、凍結胚移植等のことです。所得の制限はありますが、多くのひとが利用しています。しかし、この4月より凍結胚移植の補助は15万円から7万5千円と減額になりました。この変更は2月の中旬であり唐突なものでした。移行措置もないという国の回答で決定しました。

また、最近では40歳以上の補助はすべて打ち切る検討も始まっており、少子化対策を叫ぶなか、何か方向性が違うように思えますが、今後は署名活動や政治への働きかけが必要なのかもしれません。閑話休題、出生前診断ですが、現在ダウン症の診断について議論されています。以前は(現在もですが)、確定診断は羊水検査でした。これは妊婦の腹部に針を刺し羊水を吸引し調べる検査です。

検査の手技により1000人に3人は正常な児であっても流産や子宮内胎児死亡を起こす可能性があります。それに比べ母体血中の胎児由来の細胞を調べて診断する方法は胎児に影響はありません。このように優れた検査を特定な施設のみができるとしたことも産婦人科医の中においては疑問に思うひとが多くおり、検査を受けたいひとを捌ききれない状態にもなっています。北海道においては、北海道大学でしか検査できておりません。このようなことになった理由の一つは、『安易な検査は命を軽く考える』とのことです。では安易な検査とは何なのでしょうか?

そのためにカウンセラ-が必要というけれど、ではカウンセラ-が何を話すのでしょうか?まだ明らかにされておりません。このような意見・疑問をもたれる産婦人科医も多く見受けられます。いままでダウン症に対して苦労していたのは当事者のご夫婦と担当している最前線の医師です。行政はこれからどのように対応していくのでしょうか。また、私たちも何らかのアクションを起こす時期にきているのかも知れません。

2013年04月30日 苫小牧民報 掲載

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